生きてるだけで、愛。

関根光才、2018。本谷有希子の同名小説の映画化。これは本を読んでから見たのだけど、本にはあった瞬発力がなくなっていて、代わりに人生の機微を丁寧に捉えた秀作となっている。映画では鬱とか躁とか睡眠障害が全面にリアルに出ており、その分瞬発力が欠けたかなという気がする。小説はあまり覚えていないが、病気なんて結構どうだってよかったように感じた。で、結局のところ、小説が面白かったから映画も見てみようと思ったわけで、映画単体で見ようというモチベーションとなるものはなにもなかった。見始めるまでは。でも実際小説より劣ると思いながら見てしまったのだが、決してつまらない映画ではなかった。趣里は主演らしく画になる女優で、菅田将暉は余裕の安定感を見せていた。仲里依紗がもうちょっとぶっ飛んでくれると良かったかもしれない。小説での仲里依紗の役はかなりイカれていたと記憶している。ラストへとつながる一連の流れは長すぎたのかもしれないが、恋愛映画としての完成度は小説に引けを取ることなく素晴らしかった。95点。