カリフォルニア・ドールズ

ロバート・アルドリッチ、1981。アルドリッチの遺作。女子プロレスのタッグ、「カルフォルニア・ドールズ」のロード・ムービー。ドサ回りのふたりの女子レスラーとマネージャー、ピーター・フォークの姿が描かれる。物語は、試合と三人の移動シーンで成り立っている。映画のカメラはリングに深追いすることはない。かといって三人の生活にも深追いすることはない。それゆえにロード・ムービーのテイストあふれる作品になっている。この映画、何かが起こりそうだったり血生臭さもありありなのだが何も起こらない。女子レスラーの悩みも提示されるが重要ではない。ピーター・フォークの破天荒な行動は重要だ。彼は悪いことをするのだが倫理観がありレフェリーを買収したりはいしない。そこに絡んでくるのが全米一のトレーナーを持つタッグである。そのトレーナーはピーター・フォークをは違いスポーツマンシップの塊である。そしてその興行主のバート・ヤングは興行界によくいる悪人である。物語のほとのどは三人の珍道中のように微笑ましく語られる。三人のライトかつディープな関係性が絶妙だ。見どころは当然、最後の試合だろう。そこで興行主はレフェリーを買収し、ピーター・フォークは観客を買収する。そしてトレーナーはスポーツマンシップを見せつける。三つ巴の思惑とリング上の真剣勝負が複雑に絡み合いながら、最後はプロレスらしくお約束で終わる。買収レフェリーはリング上でただのレフェリーに成り下がり、カメラは4人の女子プロレスラーの美しい姿を映し出して終わる。長編映画とは思えないくらいあっという間に時間が過ぎる映画だった。100点。