キッスで殺せ

ロバート・アルドリッチ、1955。戦後すぐに連載された私立探偵マイク・ハマーもののひとつ。この映画はお話の展開やテンポの良さも際立っているのだが、なにがすごいって、初っ端から怒涛のテンションで押し切ってしまうことだ。ゴツゴツしたドラマになりそうでならない。でもゴツゴツ感がすごい。拳銃だって最後のほうにしか登場しない。ちょっと展開が見えなさすぎて、登場人物を把握するのにも一苦労だったのだが、常にその先に何かが起こるような構成になっていて、それを見せるのもうまい。ただ、起こることがノワールっぽくないシーンが多くてかなり驚かされる。カメラのアーネスト・ラズロはとてもいい仕事をしていた。編集も素晴らしい。主演のラルフ・ミーカーは役柄にピッタリハマっていたのだが、素晴らしかったのがギャビー・ロジャーズ。気だるい声で核爆弾のありかを暴いたり、驚異的なラストシーンでは、ギャビー・ロジャーズの絶叫は機械音と化していた。簡単に説明できない不思議な魅力を持つ映画だった。100点。