スプリング・ブレイカーズ

ハーモニー・コリン、2012。まず女学生の強盗シーンが圧倒的だ。それからバカンスではEDMな世界が垂れ流されるが煽ることは控えめで、すぐにギャングスタな連中になる。そしてブリトニー・スピアーズで軽薄なムードは最高潮に達し、その後のすったもんだがある。この映画はバカンス映画の体裁を見事に守りながら、危なっかしい橋を渡ってゆく。そして編集が時間軸からズレることが多い。これは女学生の感覚をそのまま編集であらわしているような気がする。この映画の世界観は間違いなく女学生のバカンス映画だ。だからといって女学生を主人公に置いた映画でもない。観客の分身たる主人公はこの映画には存在しない。セリーナ・ゴメスの早期撤退は観客の分身のであるように見えるが、撤退して映画から消える分身なんていない。ジェームズ・フランコとの関係における性的な部分の欠落は注目すべきものだろう。実際はヤラない。同様に実際は殺さない、実際はやべえことにならない。ビキニとガンがあればそれでいい。個人的にはビキニで覆面してマシンガンぶっ放すスローモーションのシーンは、すべて現実でもイメージショットでも構わないと思っている。だってあんなのすぐ殺されるだけだもの。行こうとしたらジェームズ・フランコが殺されて逃げるのだ。バカンスなんだからそれくらいで十分だろう。イメージショットや編集はすこぶるごきげんな映画だった。地元の絶望的な停滞ムードはバカンスの推進力を引っ張り上げていた。95点。