カメラを止めるな!

上田慎一郎、2017。ワンカットでゾンビ・ドラマを生放送で作る、というテレビ企画を題材にしたゾンビ・コメディ映画。ロケーションが素晴らしく、まるで『霧島』のように魅力的だった。こういう話題にもなった映画は鮮度があるうちに見るのがやはりよくって、その鮮度はとっくになくなっていたから、もっと早く見ておくべきだった。音楽はしょぼいし撮影だって全体的に見れば良かったとは思わない。でもこの映画には軽薄な勢いがあって、この手の映画好きが好みそうな前フリを回収していくところもあってワクワクさせられた。それらは既視感はあるものの全体としては見事に統合されており、タイムトリップにすんなりのれた。個人的には監督役の濱津隆之がチャーミングな魅力があって、本当の監督も彼だったらと思うと映画がなおさら素敵に思えてくる。エンド・クレジットで本物の映画制作現場が流れるのだが、それを映画のなかとして見られれば素晴らしく感動するだろう。しかし現実のほうに引き戻されて、あ、やっぱり、映画作るのって、大変そうなのね、と思ってしまった。ラストとか、ちょっと期待はずれだったけれど、あそこで号泣なのかなあ。90点。