人生の特等席

ロバート・ロレンツ、2012。見逃していたイーストウッド作品だと思ったのだが、イーストウッドは出演だけで監督はちがう人だった。エイミー・アダムス(これもエマ・ワトソンと勘違いした)が主役としてリードしてくれればお話はわかりやすいのだが、アダムスひとりの部分が弱すぎて結局は父と娘の衝突と和解といったテイストの物語になっている。原題が『Trouble with the Curve』で、この原題がなかったら、カーブの打てない打者のくだりは下手なジョークのように弱々しいものになってしまう。ジャスティン・ティンバーレイクは映画にものすごく安定をもたらしていたと思う。父娘は衝突しまくるのだが、ティンバーレイクも衝突に巻き込まれる。この映画は衝突音や衝撃音が実際に耳に聞こえないものまでふんだんに使われている。でも圧倒的にイーストウッドの出す車の衝撃音が印象に残っていて、他の衝突や衝撃音が薄い。そもそもこの映画はエイミー・アダムス主演でもよかったんじゃないか。エイミー・アダムスのダブル主演でも良かったと思うし、そう仕立てたつもりかもしれないのだが、イーストウッドがのほうが衝突や衝撃度では圧倒する。ラストのキャッチの衝撃からはエイミー・アダムスの面目躍如となるのだが、そこに至る説得力が欠けていた。これがイーストウド名義だったら評価も上がっちゃうのかなあ謎だ。90点。