白い暴動

ルビカ・シャー、2019。英国で巻き起こったムーブメント、“ロック・アゲインスト・レイシズム”を追ったドキュメンタリー。僕はこの界隈の時代や人脈の流れをある程度把握しているつもりでいたのだが、こんなことがあったなんてぜんぜん知らなかった。ただ政治的なドキュメンタリーではあるものの、とてもポップな画面構成や音楽が印象的だった。イギリス民族戦線のナチ共や、モッズの流れからオイパンクなどにたどり着いたスキンヘッズが敵として登場するのだが、激しい抗争などよりも目につくのはギリギリ平和裏に行われるデモであったりする。『白い暴動』とタイトルにはあるが主人公はクラッシュではなくその歌詞であり、あくまで“ロック・アゲインスト・レイシズム”の活動家たちだ。英国ってこういう揉め事(結構ハードなの)四六時中起こしている気がするけど、文化芸術がギリギリ守られているなあと感心してしまった。主要人物では一番被害を被ったと思しきデニス・ボーヴェルがかわいそうだった。100点。