周遊する蒸気船

ジョン・フォード、1935。南部の船のナンセンスコメディ。トーキーなのだが、サイレント映画の傑作のような素晴らしい出来栄え。とにかく画面に満ち溢れるエネルギーの高さ。あらゆるいいかげんさと、優しさに恋をしてしまうような映画だった。主演のウィル・ロジャースアン・シャーリーはどちらも素晴らしいが、アン・シャーリーの可愛らしさは演出力の賜物でもあると思う。好きなシーンはウィル・ロジャースアン・シャーリーに服をあげるところや、それを着て歩くところ、操舵室でのふたりのアンタッチャブルな空間などなど。現代でも十分通用するアン・シャーリー美貌も忘れられない。とにかくエキストラも多いし人間の作り出すグルーヴやエネルギーみたいなものがジョン・フォードの手によって見事に結実している。本当に楽しい喜劇。100点。